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Janek Chenowski's Provisional Blog

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無題

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

ボリス・エリツィンの血

 前回の記事の続きになる。酒飲み以外には退屈な話題になると思うから、ムスリムは読まない方が良い――貴方がアブー・ヌワースでもない限り。
 どこまで書いたか……そうだ、豚肉を塩と香辛料まみれにして漬けた所だった。結論から言うと、あの記事を書いた三日後には容器から取り出し、キッチンペーパーと新聞紙に包んで冷蔵庫に放り込み、一日ほど置いておいた。その間に僕はなんだか小洒落た食料品店を訪ね、ドイツの黒パンと、何故かそれしか置いていなかった『スミノフ』の21番を買ってきた。
 『スミノフ』? なんだか変な響きだ。瓶にはしっかりSMIRNOFFと書いてあるし、創業者のロシア人もСмирновという名前なのに、どうして『スミルノフ』では無いんだろう。この気取ったウォッカは一瓶が1000円くらいで手に入ったが、決して安酒ではない。そしてロシア製でもない。かといって、『ストリチナヤ』とか『モスコフスカヤ』は外貨獲得用に作られた高級酒だし、本場のウォッカはもっと雑味があって、おまけに驚く程安いらしい。僕が最後に聞いた話では、半リットル瓶が一本90ルーブルくらいから飲めるという話だった。そういう庶民の酒が飲みたいものだけど、日本ではどうやら叶わない話のようだ。ふーむ、90ルーブルか――移住しようかな。
 ちなみに、ウォッカのアルコール度数はきっかり40度でなければいけないらしい。『ギルビー』とか『ウィルキンソン』のブランドは邪道という事か。このウォッカ製造に関する規定を作ったのが、ドミトリー・メンデレーエフ(僕らが「水兵リーベ」を覚える破目になった元凶)だというから驚きだ。
 話を元に戻そう。僕の漬けたサーロと、手に入れたウォッカの話に。
 まず『スミノフ』は瓶ごと冷凍庫に放り込む。ロシアならドアの外に30分ほど置いておくだけで事は済むのだろうけれど、日本では冷凍庫なしにはどうにもならない。ウォッカが多量に含むアルコールは融点が非常に低いから、冷凍庫程度では凍る事はない。
 黒パンを切り分け、サーロを薄切りにして載せる。キンキンに冷えたウォッカのボトルを冷凍庫から取り出すと、見る見るうちに瓶には霜が張り付き、漂う冷気が白い渦を作って流れ落ちる。瓶の中の液体は凍らずに、しかし僅かにとろりと粘性を帯びてたゆたう。なんだか映画『ザ・ロック』の冒頭で化学兵器を格納庫から持ち出すシーンを思い出す。だが僕が手にしているのは、ある意味では化学兵器よりも剣呑な代物、多くの人間を溺れさせた酒神バッカスの恵みなのである。


 写真は携帯電話のカメラで撮った。前回はきちんとしたカメラで撮影したけれど、用意するのが待ちきれなかった。
 ショットグラスに注いだ、刺すように冷えたウォッカを喉に流し込み、深呼吸をする。すると消化器から口に至るまでの全ての内臓が大火事になったようになるから、その感覚を楽しみつつ、黒パンとサーロに手を伸ばす。独特の酸味の強い黒パンと、塩とスパイスの利いたサーロがアルコールの熱を取り去る。そしてまたウォッカを注ぎ――と、あとはこの繰り返しだ。
 サーロの作り方というよりは、なんだか酒の飲み方についての記事になってしまった。勿論、これが正しい飲み方という訳でもない。同様に、サーロがこのような酒の肴でしか有り得ない、という事もない。サーロは非常に有用な食材だと言われている。調理の際にはラードの代用としても使えるし、ちょっとしたペミカンのようなものだ。生憎と僕には生で薄切りにしたものを食べる以外の方法が思い付かないけれど、読者諸氏は様々な食べ方を試してみてほしい。あとウォッカの飲み方も。
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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

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